厚労省で医薬部外品の新しいガイドラインの策定、「動物実験を削除するよう意見して」大手企業に要望しました
2015/08/26
茶のしずく石鹸(悠香)による小麦アレルギー発症事故、カネボウ化粧品の美白化粧品による白斑事故など、薬用化粧品による重篤な事故が相次いだことも影響して、厚生労働省では、医薬部外品(薬用化粧品)の安全性試験について新たにガイドラインを策定することが検討されていましたが、すでに関係者間で協議が行われ、原案の作成が進められているとの情報が入りました。
これまで、国内の大手化粧品メーカーが、自主的に動物実験廃止を決定し、それを公表してきました。化粧品の動物実験廃止は一部の動物愛護団体の主張ではなく、すでに当然の基準として国際社会のなかで受け止められています。
そのようななか、もし日本の行政当局が主導して策定する新しいガイドラインで「動物実験を行うこと」と規定されてしまったら、脱・動物実験の流れにある国際社会から確実に日本は取り残されてしまいます。
そこで私たちCFBは、7月30日、これまで動物実験廃止を宣言してきた大手化粧品メーカーに対して、「ガイドラインに動物実験項目を含めないように厚生労働省に対して要望してほしい」との意見を届けました。
ガイドラインは通常、その原案がまず関係業界に対して公表され意見が求められた後、国民の意見が公募されます(パブリックコメント)。このガイドラインについては、国民よりも企業の意見が重視されることになると思われますが、その段階で「動物実験残すべき」「動物実験があっても構わない」などという意見が企業から出されてしまっては、ガイドラインに動物実験項目が残る危険性が高くなり、(薬用)化粧品のための動物実験にお墨付きを与えてしまうことになります。美しさのために犠牲にされる動物たちの苦しみを終わらせるためには、これはなんとしても阻止しなくてはならないと考えています。
国民の意見公募の際には改めて皆さんに意見提出をお願いすることになりますが、まずは、これまで動物実験廃止を宣言してきた化粧品メーカーが、「自社さえ廃止していればガイドラインに動物実験が残っても構わない」というような無責任な意見を届けることのないように、ぜひ各社の動向をウォッチしてくださるようお願いします。
- 資生堂に対する公開書簡(PDF)
- 花王・カネボウ化粧品に対する公開書簡(PDF)
- コーセーに対する公開書簡(PDF)
- 日本メナード化粧品・ダリヤに対する公開書簡(PDF)
- ノエビアホールディングスに対する公開書簡(PDF)
- ポーラ・オルビスホールディングスに対する公開書簡(PDF)
- マンダムに対する公開書簡(PDF)
例:資生堂への書簡
〒105-8310
東京都港区東新橋1-6-2
株式会社資生堂
取締役 岩井恒彦 殿
医薬部外品の薬事申請で検討されている
新ガイドラインに動物実験を含めないよう
要請をお願いします
拝啓
貴社におかれましては時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
当会「美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会」は、国内で動物保護活動を展開している特定非営利活動法人アニマルライツセンター(ARC)、特定非営利活動法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)及びPEACE~命の搾取ではなく尊厳を、の3団体によって2013年1月に立ち上げられたもので、化粧品の動物実験廃止をはじめ、動物の犠牲を伴わない真の美しさを実現するため、様々な活動を行っています。
さてこのたび、厚生労働省において年内にも策定が予定されているという、医薬部外品の安全性試験ガイドライン(仮)について、ご連絡させていただきました。
かねてより、動物愛護運動の高まりやEU(欧州連合)における流通禁止規制等の影響を受けて、2009年、厚生労働省において「医薬部外品の製造販売承認申請における安全性に関する資料のあり方検討会」が組織され、動物実験代替法による医薬部外品の毒性評価に向けた検討が行われてきましたが、貴社を含む日本化粧品工業連合会加盟の大手化粧品企業がその検討作業に参画し、動物実験の代替に向け、尽力されてこられたものと存じます。
国内の他企業に先駆けて2010年3月、貴社は「化粧品の動物実験廃止に向けた資生堂の取り組み」としてEUの動向に合わせて動物実験廃止をめざすとの方針を公表され、それ以降、2011年3月に自社の動物実験施設を閉鎖し、2013年2月末には外部委託も含めた動物実験廃止を機関決定されました。それ以降、貴社の決定に続いて複数の大手化粧品企業が、輸入化粧品に対して動物実験の実施を法的要件とする中国への輸出や、化粧品による健康被害が発生した場合の原因究明等、動物実験を行う例外的な条件はあるものの、新規原料を配合する医薬部外品の承認申請(以下、薬事申請といいます。)を含め、原則的に化粧品及び医薬部外品の開発に際する動物実験を廃止するという決定及び公表が相次ぎました(別紙参照。貴社を含みます。)。
すなわち、EU(欧州連合)において2013年、動物実験代替法が確立されていなくとも動物実験禁止規則が遅延なく施行されたように、日本においても、医薬部外品の安全性評価における動物実験が完全に代替できる段階になかったとしても、新規原料開発のシェアの多くを占めてきた大手化粧品企業が、現状動物実験を要する薬事申請を自主的に放棄しています。
このことから導き出せるのは、あえて制度上に要件としての動物実験を象徴的に残しておく必要はなく、むしろ、動物実験を不用とすることで、動物を使用しない新たな評価系の開発というイノベーションが推進されるということではないでしょうか。
また、現在動物実験を続行する企業と廃止した企業が混在する状況下、倫理的観点から自主的に動物実験を廃止した企業が、新規原料開発というイノベーションを制限され相対的に不利益を被っているという不均衡な現象はいずれ制度上是正されるべきだと考えています。この是正されるべき状況が、ガイドライン等に動物実験が明記されることによって逆にオーソライズされてしまっては、健全な市場は遠のき、万が一それを黙認ないし加担するような企業があるとすれば、企業の社会的責任(CSR)の考え方から逸脱するものであり、消費者に対する裏切りとのそしりを受けることになるでしょう。
貴社は2010年6月から2014年3月までの間、6回にわたって「化粧品の成分の動物実験廃止をめざす円卓会議」を招集し、当会の構成団体であるJAVAを含む様々なステークホルダーがそれに参加、国内外の業界全体を通じた問題の本質的解決に向けて議論を重ねました。「廃止に向けた今後のプロセス」が検討されるなか、この問題は貴社一社の問題にとどまる問題ではないとの合意のもと、①消費者、②同業他社、③行政当局、④代替法開発という4つの課題が掲げられたのは改めてご説明申し上げるまでもありませんが、まさに、今次、業界の意向も踏まえて国が策定する新ガイドラインは日本において化粧品の動物実験廃止が実現できるかどうかの一里塚となるはずであり、円卓会議にて②同業他社、③行政当局への働きかけが課題と認識している貴社が、その局面にどのような意見を届けるかによって、貴社の方針の真偽が問われることになると、当会そして消費者は注視しております。
つきましては、医薬部外品を含む化粧品の動物実験の廃止を表明されておられる企業の皆様におかれましては、ぜひ当該ガイドライン等の策定に際して、当局に対し、関係企業として、動物実験項目の削除を積極的に訴えていただけますようお願い申し上げます。
なお、当該新ガイドライン等に対する貴社のご見解ないし当局側に対して送られた(送られる)意見の概要について、当会宛にお示しいただけるよう、併せてお願い申し上げます。
2015年7月30日
〒150-0042
東京都渋谷区宇田川町12-3ニュー渋谷コーポラス1009
アニマルライツセンター内 TEL/FAX03-3770-0720
美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会
亀 倉 弘 美(JAVA理事)
岡 田 千 尋(ARC代表理事)
東 さ ち こ(PEACE代表)
構成団体: NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)
NPO法人アニマルライツセンター(ARC)
PEACE~命の搾取ではなく尊厳を
※別紙省略
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